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前へ 今年の天候不順は一体どうしたことなんだろう。 肌に突き刺さるような冷気を纏いながら、私はそんなことをぼんやり考えていた。 ――それにしても、一体私は、いつまでここにいなければならないんだろうか。 「出ない・・・」 無機質なダイヤルオンが、むなしく私の耳を通り抜けていく。 いい加減あきらめれば?って自分でも思うけれど、“彼女”の無邪気な笑顔を思い浮かべると、自然に指が短縮ボタンを押してしまう。 どうして、彼女は電話に出ないのだろう。せっかく2人きりで遊ぶ約束をしたというのに。 私は今日という日を、本当に楽しみにしていた。 小学生の、遠足の前の日みたいに浮き足立って、眠れなくなっちゃうぐらいわくわくしていた。それなのに。 数十回目の発信。今度は少し長めに、切らずに待ってみようと思った。 きっと気づいてくれる。電話に出てくれる。いつもみたいに、「ごめーん」って笑ってくれる。そう信じた。信じていたのに。 「・・・何でぇ?どうして出てくれないのぉ・・・?」 15分間、鳴らしっぱなしにした電話。それでも、受話口に彼女の声が飛び込んでくることはなかった。 悔しくて悲しくて、私はグスンと鼻をすすり上げた。 本当は私と遊ぶのが嫌で、直前になってその気持ちが高まってしまったのだろうか。 あるいは、他に電話で話したい人がいるから、私の電話なんかに出ていられない、とか・・・ 頭をよぎるのは、いつも当然のように彼女の横で笑っている“あの子”。 私がどんなに彼女の気を引いても、どれだけ熱心に尽くしても、結局彼女に選ばれるのは“あの子”。 もしかして、彼女はあの子からの電話を待ってるの・・・? 「そんなの、いや!!」 私は絶叫してしゃがみこんだ。 どうしてどうしてなんで。わたしがこんなにまっているのになんで。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで? 不安と焦燥感で、心が壊れてしまいそうだった。 今日だけは、私のものになってくれるって信じていたのに。裏切り者。許せない。 もう絶交だとか、二度と口も利きたくないとか、たくさんの嫌な言葉が頭を満たしていく。そして、パンク寸前になった時、急にスーッと激情が引いて行った。 「・・・・・ああ、そうかぁ・・・」 今日だけは私のもの、なんて思うからいけないんだ。 誰かのものになるぐらいなら、え い え ん に わ た し の も の に す れ ば い い 「ウフフ・・・待っててね」 さっきまでは気恥ずかしさで押せなかったインターフォンを、弾むような気持ちで鳴らしてみる。 「あーい」 出迎えてくれたのは、彼女の小さな小さな宝物。穢れなんてひとつもない眼差しがまぶしくて、私は目を細めた。 「こんにちは、私、早貴っていうの。あなたのお姉ちゃんに、会いに来たんだ・・・」 「・・・・・というような事態を招く恐れもあるので、着信33回とか金輪際やめたほうがいいと舞は思いましゅ」 「長文乙。・・・って、ないから!!絶対に!!!私は舞ちゃんとはチガウンデース!」 毎度おなじみ、妄想萩ちゃん劇場。本日は、なっきぃ怖っ!とか煽ってくる“元の”岡井はん付き。 「なっちゃんはさ、残念ながらストーカー気質というやつだよね。アイドルなのに。何かロック感じるわ」 「あー、かもねー。警察に突き出されなかっただけでも感謝して欲しいねぇ。あの時舞がクローゼットから出てきて取り押さえてくれなかったら、千聖どうなっていたことか」 「いや、私何にもしてないし!何本当に千聖に危害加えたみたいな話になってんの!てか、何でナチュラルに舞ちゃんが不法侵入してるの!?それはいいの?ていうか、そもそも千聖が寝坊するからいけないんじゃん!何これ!意味わかんない!」 2人して私をいじってくるもんだから、どこから突っ込んだらいいのかわからずてんてこまい。 そんな私を見て、「ウケるー!!」っておなかを抱えて笑う小悪魔2匹。・・・2人とも、私をどうしたいんでしょうか。 「・・・舞ちゃん、私が千聖と2人っきりで遊んだからヤキモチやいてるんでしょ。」 仕返しとばかりにそう挑発してみると、舞ちゃんの眉毛がピクッと上がった。 「・・・別に?」 「だってー、私と千聖、ラブラブなプリクラ撮っちゃったしー?あーあの日は本当に楽しかったなぁ?キュフフ。ほれほれ、まだプリあまってるからあげようか?」 「う・・・うるさーい!こんなもの!消化してやる!」 「ぎゃー!やめるケロやめるケロ!」 舞ちゃんはプリクラをひらひらさせる私の手ごと、自らの口の中に突っ込もうとしてきた。・・・舞、恐ろしい子! 「ちょっとなっきぃー、舞ちゃんいじめるのやめてよねー」 「ちしゃとぉ・・・えーんえーん(棒読み)」 「な、ちょ、こんなの絶対間違ってる!リーダー!愛理!」 マトモグループに助けを要請するも、2人は読んでいた雑誌をパタンと閉じて、イヤーな笑顔を向けてくる。 「えー?あはは、聞いてなかった!ごめんごめん。でも、ストーキングはだめだぞ、なっきぃ!nkskならぬstskですな、とかいってw」 「聞いてんじゃん!」 「ケッケッケ、真実の愛とは、そんな手段じゃ手に入らないんだぞ、なっきぃ!」 「もー、愛理までぇ」 ――だめだ、完全にnkskいぢりモードが発動している。これはまずいことになったのだ。 「千聖、ちょっと」 あー、誘拐だー!と叫ぶ舞ちゃんの魔の手から千聖をしばしお借りして、隅っこにて小声でナイショ話。 「・・・このこと、ブログに書くの?」 「え、もちろん。こんな面白いネタ、そうそうないでしょー!」 仔犬顔の悪魔は、楽しそうに体を揺すって笑った。 「ちょ、待って、それならなっきぃが先に書くから。千聖はその内容をフォローする感じにして!お願い! 舞ちゃんの言ってる内容で書いたら、私ヤバイ子だと思われちゃう!特に、着信の件は絶対に伏せて!」 千聖はいたずらっ子だけど、ちゃんと話せばわかってくれる。そう信じて手を合わせると、案の定、少し考え込んだ後、千聖は「うん、わかった」とうなずいてくれた。 「大好きななっきぃの頼みだもんねっ」 「千聖ぉ」 かわゆい妹分が聞き分けてくれた嬉しさで、私は千聖をギューッと抱きしめた。 背後のちさまいが、ニヤリと笑ってサインを送りあっていたことなんて知ることもなく。 ――その後、千聖が私からの“岡井ちゃんと遊んだよ♪詳しくは岡井ちゃんのブログで♪”のパスを華麗にスルーし、しばらく経ってからお嬢様の千聖が慌てて書いてくれた中に、ばっちり“着信33回の件”が含まれていたのはまた別のお話。 ノソ*^ o゚)<着信の件は絶対に伏せて!絶対だよ! ~~~~~○~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ o リ*・一・リ<押すなよ!絶対に(ryということかしら?ウフフ、早貴さんたらお茶目なのね。早く応えて差し上げないと。 次へ TOP
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「マスターさんっ!」 「マスターっ、たた、大変……なのですよぉーっ!!」 ……今、俺の耳がおかしくなった。 何だ何だ? 金剛石と鶏冠石ちゃんに呼び止められたのは分かるんだが。でもなんだ、ものすごい違和感があった。金剛石が、え? とりあえず振り返ってみるが、いつも通りの二人が並んでいるだけだ。 「えっと、とりあえず、うん、どうした?」 まぁ、とりあえず事情を聞いてみよう。そうすれば何か分か――。 「金剛石のミスでちょっとしたトラブルに巻き込まれてしまいまして」 そう言うのは金剛石。 「ち、違うでしょーっ、元はといえば鶏冠石がっ」 そう言うのは鶏冠石ちゃん。 「……ねぇ、もしかしてからかってる?」 「そんなわけありませんわ。こちらは真剣に困っているのですから」 「そ、そうだ……そうですよぉ、なんか鶏冠石と頭の中が入れ替わっ……入れ替わってしまってぇ」 ……はぁ? 「つまり、鶏冠石ちゃんの家に遊びに行って、廊下を走っていたら鶏冠石ちゃんと頭ぶつけ合って……アニメみたいだ」 どうやら、演技ではなく本当に二人の中身が入れ替わっているらしい。そりゃそうだよね、金剛石が乙女らしい口調を自然に喋るはずないし。 「マスター、なーんかものすごく失礼なこと考えてない?」 「金剛石、私の体でそのように下品な言葉遣いはやめなさい」 「下品ってなによぉー」 そしてなんか二人とも仲悪いし。まぁ、こんな事態になったら当然か。 まぁ、中身が入れ替わったことについてはいちいち驚かない。宝石乙女を見てからどんな超常現象も受け入れられるようになった気がする。 それにしても、今回は明らかに金剛石が悪いよなぁ……。 「はいはい、二人とも落ち着いて。金剛石、いつも無駄にエネルギー使うなって言ってるだろ?」 「マスターさん、私は鶏冠石ですが」 「え、あれ? あぁ……そ、そういうことだ。今回はお前が悪いから謝れ」 「マスターさん、わたくしはけーかんせきだ……ですが」 「中身は金剛石だろ!」 「う……ごめんなさい」 鶏冠石ちゃんの姿をした金剛石がうなだれる。まったく、ややこしい。早く何とかしないとな。 「とりあえず、今までこんな前例はなかったのか?」 「慌て者の金剛石ならどうかは分かりませんが、私は身に覚えがありません」 「ちょっとー、余計なこと言わないでよぉ。あたしだってそんなの全然知らないってば」 「だから私の体でそのように下品な――」 「はいはいストーップ。とりあえず前例はないんだな」 なんだかいつもの倍疲れるな、この会話。 しかし、前例がないとなると、ペリドットさんや真珠さんに助けを求めたいところか。 「姉様たちならいませんわよ。何でも昔のマスターの墓参りということですが」 自力でやらないとダメなのか……何で考えてること分かったんだ。 「やっぱりここは同じ衝撃を与えてみるってのが妥当なのかな」 「そうそうっ、それだよそれー」 「なっ……」 金剛石と鶏冠石ちゃんでまったく違う反応を見せる。まぁ、鶏冠石ちゃんはあまり力業は好きじゃなさそうだしな。 「わ、私はもっとソフトな方法がよろしいのですが……第一金剛石のように廊下を走るなどというはしたない行為は……」 「鶏冠石さっきから一言余計っ! そんなに言うんだったらあたしがぶつかるから」 「私の体でそのような行為はやめてくださらないかしら。貴女と違って無駄に頑丈ではありませんから」 ……戻る気あるのかな、二人とも。 ここは鶏冠石ちゃんの住んでいる屋敷。ちなみにマスターさんは今出かけているそうだ。そして、現場と思われる廊下。ホント長いな……金剛石が走りたくなるのもよく分かる気がする。 「さて、それじゃあ鶏冠せ……金剛石がこっちから走ってきて、鶏冠石ちゃんにぶつかる。いいな?」 「はーいっ」 長いスカートを持ち上げ、臨戦態勢は万全の金剛石。ちなみに鶏冠石ちゃんには、三十分間説得を続けて納得してもらった。これが終わったらお詫びしないとな。 「わ、私も万全でしてよ」 その顔に緊張の面持ちを浮かべる鶏冠石ちゃん。金剛石の顔でこんな表情を見ることになるとは今まで思いもしてなかった。 「よぉーっし、思いっきり行くからねーっ」 対する金剛石は相変わらず明るい。鶏冠石ちゃんの顔でこんな表情を以下略。 「だから私の体でそのような下品な言葉遣いは……」 「まぁまぁ。それじゃあ、いいぞー」 「はいっ! よーいっ、ドン!」 自分でかけ声をかけて、勢いよく走り出した金剛石。と、思ったのだが、その足取りは想像以上に遅い。普段の金剛石からは想像もつかないスピードだ。 ……あぁ、体は鶏冠石ちゃんだから運動能力に優れていないのかも。 「か、体が、重い……」 「なっ、おお、重いとは何ですか!!」 「落ち着いてっ。金剛石の体は鶏冠石ちゃんよりパワーがあるからそう感じるだけなんだって!」 「そ、それもそうですわね……って、それはつまり……」 鶏冠石ちゃんの表情に焦りが表れる。まぁ、そうなんだよね。つまり鶏冠石ちゃんが思いっきり走らないと、ね。 「ひぃ、ふぅ……あうぅ、なんかいつもより何倍も疲れるんだけど……体、重い」 「こ、金剛石っ! ちょっと表に出なさい!」 「だぁーっ、頼むから落ち着け!」 二回目。今度は鶏冠石ちゃんが金剛石にぶつかる番だ。しかし……。 「わ、私、思いっきり走るなんて初めてですわ」 「大丈夫だよ、体は金剛石だから。ただ落ち着かないと、想像以上にスピード出るかも」 「ええ……本当、エネルギーばかり有り余ってるのですね」 「鶏冠石ぃ~っ」 今にも向かっていきそうな金剛石を押さえる……仲悪いなぁ、ホント。 「むぅー、早くしてよぉ。この重い体じゃあ疲れるんだからー」 「なっ……」 金剛石、それはわざと言ってるのかな? 仏の顔も三度まで。鶏冠石ちゃんの顔はみるみるうちに赤くなっている。怒ったね、確実に、本気で。 「ふ、ふふ、ふふふふふふふ……こ~ん~ご~お~せぇ~きぃ~」 「え……何? もしかして……」 「金剛石、口は災いの元って言葉、知ってる?」 まぁ、もう遅いけど。 「そこまで、そこまで言うんでしたら……私、本気で……本気で、参りますわよっ!」 そう言う鶏冠石ちゃんの顔は、まるで獲物を追いつめるライオンのような。金剛石の顔だけど。 で、恥ずかしさも怒りで吹っ飛んだ様子で走り出したわけ……って、いきなりトップスピード!? なんかほこりが舞い上がって土煙みたくなってるぞ! やばい、本能がそう悟る。このまま金剛石を押さえた状態だと、俺の身にも危険が及ぶ。そこまで考えたところで、俺の体は左側に飛び退いていた。 どうやら俺の本能は正解だったようだ。金剛石と鶏冠石ちゃんの距離はすでに一メートルを切っている。視界がスローモーションで進む。顔面蒼白の、中身が金剛石の鶏冠石ちゃん。怒りで我を忘れている、中身が鶏冠石ちゃんの金剛石。 飛びかかる鶏冠石ちゃん。金剛石に身を守る術はない。このまま頭がガチンコでぶつかれば、きっと二人の中身……もっ!? ……視界、ブラックアウト。 「……ターっ、マスターっ!」 「しっ……してくださいっ、マスターさん!」 ……あれ、ここは。 「マスターっ!」 抱きつかれる感触。 えっと、俺は確か……。 「私を避けようとして壁に頭をぶつけてしまわれて……申しわけございません」 ……あぁ、そうか。俺は鶏冠石ちゃんを避けるために。 「マスターのおかげで、何とか元に戻れたよっ。ありがとう!」 そうか、二人とも元に戻ったのか……。 「よかったな、金剛石」 そう言って、金剛石の頭を撫でる。 「……あの、私は鶏冠石ですが」 「は? 何言ってるんだよ。その赤いドレスは金剛石だろ?」 何だ? 実はまだ戻ってないってオチか? でも、何でだろう。俺に抱きついてきている鶏冠石ちゃんが呆然としているのは。 「……マスター、もう一回やる?」 そうつぶやく鶏冠石ちゃん。口調が金剛石っぽいのは、何かの演技なのかな? ◇ ◇ ◇ ◇ 「どうしたの鶏冠石? ご飯残すなんて、珍しいね」 「え、ええ……ちょっとダイエットをと、思いまして……おほほほほ」
https://w.atwiki.jp/83452/pages/10641.html
パンツ「えへへ~」 憂「なんでパンツに?」 パンツ「よくわかんない!」 憂「そ、そうなんだ……」 パンツ「ういー!!」 憂「なに!?」 パンツ「寒いよぉ……」 憂「そう言われても」 パンツ「履いて」 憂「へっ!?」 パンツ「早くはいて~~!!」 憂「」 パンツ「はやく履かないと~……」 憂「履かないと……?」 パンツ「……どうしよ」 憂「…」 パンツ「早くはいて~~」ピロピロ 憂「わ、分かったよお姉ち…ゃん」 パンツ「やったー!」 憂「待ってね」ヌギヌギ パンツ「うひょー!!憂に履かれちゃう」 憂「よっと」ハキ パンツ「あ……ぁぁん」 憂「お姉ちゃん!?」 パンツ「このなんとも言えないにお」 憂「お姉ちゃん!!」 パンツ「ははい」 憂「脱ぐよ!?」 パンツ「ごめんなさい」 憂「ふぅ」 パンツ「いやー、でもなんだかね」 憂「?」 パンツ「憂の温もりが伝わってくるよ」 憂「///」 パンツ「じゃあ、行こう!」 憂「……行く?」 パンツ「学校!ほら、もうすぐ八時だよ?」 憂「ほんとだ……」 パンツ「遅刻しちゃうよ~」 憂「うん!じゃあ行くよ、お姉ちゃん」 パンツ「出発進行ー!」 憂「……」 パンツ「どうしたの?」 憂「お姉ちゃん……」 パンツ「なーにー?」 憂「あ……あの……」 パンツ「んー?」 憂「あんまり動かないで……欲しいな」 パンツ「えーー!?」 憂「お願い、お願いだから」 パンツ「んもー!分かったから早く急ぎなさいっ」 憂「う、うん」 ガチャッ 憂/パンツ「いってきまーす!」 タッタッ 隣の婆「あらあら憂ちゃん」 パンツ「おはよう!!おばあちゃん!!」 隣の婆「唯ちゃん!?」 憂「お姉ちゃんだめっ!」ペシ 隣の婆「!?」 パンツ「いてっ」 憂「あ……ごめんね」ナデナデ 隣の婆「!!??」 パンツ「憂、早く行こ」 憂「そうだね」 隣の婆「憂ちゃん、おまたどうにかしたの……?」 憂「あっ……しまった」 パンツ「あ、熱い……」モゴモゴ 憂「ぁ……」ピクッ 隣の婆「憂ちゃん!?一体なにがどうなって……」 憂「あああ///おばあちゃん股ね!!」 タッタッタッ 隣の婆「どうしたのかしら…」 学校!!!!!!!! 憂「ついた……はぁ……」 パンツ「はぁ…はぁ……」 憂「どうしよう……」 パンツ「ごめんね憂……」 憂「ううん、終わったことはしょうがないよ」 パンツ「うん♪」 憂「あんまり喋らないように気をつけてね、お姉ちゃん」 パンツ「はーいっ!」 梓「あ、憂?」 パンツ「あずにゃん!?」 憂「ひっ!?」 梓「ゆ、唯先輩!?」 憂「あはは……あ~ずにゃん♪」 梓「な、なんだ憂のモノマネか…」 憂「えへへ、似てる~?」 梓「うん、恐ろしいくらいそっくりだったよ」 憂「えへへ~ありがとう♪」 梓「あれ?憂」 憂「へ?」 梓「上履き履いてない」 憂「あっ」 教室 純「ねえねえ、梓、今日の憂なんかおかしくない?」ヒソヒソ 梓「うん、朝から何だかボーッとして」 純「今だってなんか頬っぺた紅くして……」 梓「なんだろう」 純「男が出来たとか」 梓「まさか」 テクテク 憂「純ちゃん、梓ちゃん、なに話してるの~?」 純「いやなんでも……そういや憂、今日どうしたの?」 憂「えっ」 パンツ「…っ」 ペタ 純/梓「!?」 憂「あはは……」 純「……そこ(股)、どうかしたの?」 憂「ううん、なんでもないんっ」 梓「えっ?」 憂「え、あ、ちょっとおトイレに~…」 タタッ 純「怪しいぞ……」 梓「うん……」 トイレ個室 憂「お姉ちゃんっ!」 パンツ「んー!んー!」 憂「動かないでって言ったじゃん…」パッ パンツ「っぷはぁ」 憂「急に動かれちゃったら……」 パンツ「たら?」 憂「たら?じゃないでしょ、もう!」 パンツ「……憂怒ってる?」 憂「う……お、怒ってはないよ、でも」 パンツ「うん」 憂「本当に危ないから……」 トイレ個室の外 純「聞いた?」コソコソ 梓「動かさないで……って」ヒソヒソ 純「憂、股間に変なもの付けてるんじゃ」 梓「『お姉ちゃん』とも言ってた」 純「唯先輩もグルなんだ!」 梓「な、なにをしてるっていうのよ」 純「変態なことしかないでしょ、梓」 梓「!!」ゴホッ ガチャ 憂「あれ?」 純「あはは、憂」 憂「二人とも何してるの?」 憂「(気づかれちゃったかなぁ……どうしよう)」 純「あ、あの、憂?」 憂「なぁに?純ちゃん」 純「そ、その、」 梓「純!!」 純「あはは……」 憂「……」 梓「(その反応……憂……)」 憂「…あのね」 純「うん」ゴク 憂「なーんでもないよ!」 梓「えっ!?」 憂「少しお腹の具合が悪かっただけだから……ごめんね」 純「んああ、いや、全然、全然」 梓「……」 憂「梓ちゃん?」 梓「唯先輩って、今日学校来てる?」 憂「…う、うん、来てることは来てる……というか」 梓「純、行くよっ!」 純「えっ!?」 タタタタタッ 憂「あ…行っちゃった」 パンツ「憂~…」 憂「なに~、お姉ちゃん」 パンツ「もう無理…」 憂「うぅ…」 パンツ「熱くて暑くて…臭くて」 憂「(がーん)」 パンツ「刺激的……というか……」 憂「ごめんね……」 パンツ「もう嫌だ…」 憂「そんなこと言わないで…お姉ちゃん」 ぷ~… 憂「///」 パンツ「うおぇっ」ゴホッ 憂「お、お姉ちゃんひ、ひどい……」 パンツ「もしかして……」 憂「だ、大丈夫、我慢できるから」 パンツ「うぅ……穿かれなきゃよかった」 憂「お姉ちゃん…」 パンツ「パンツなんて嫌だ…」 パンツ「うぅ……」グス ジョワ 憂「……ん?」 パンツ「パンツなんてやだよぉ…」ポロポロ ジョワジョワ 憂「わ、わ、」 パンツ「うっうぅ……」ポロポロ ジョワジョワジョワ 憂「お、お姉ちゃん、濡れ、ぬれて」 ポタッ パンツ「うぅ…」 タッタッタッ 梓「憂ー!!……うっ」 純「な、なんという……」 タラー… 憂「あぁぁ……」ビクン 梓「う、憂……股から、み、水が」 純「こんな廊下で……」 憂「ち、違うの、んぁ」カァァ ポタッ 純「まさか憂が」 梓「夢……?」ゴシゴシ 憂「ち、違う、み、見て」ペラ さわ子「あら、憂ちゃん」 憂「あぁぁぁ」 さわ子「お漏らし?」 憂「ち、違うくて、あの、」 梓「憂……見損なった」 憂「違う違う違う……違うんだってばーーーー!!! 唯「うおっ!?」 憂「……あれ?」 唯「ごめんね~憂、起こしちゃって」 憂「一体…?」 唯「ソファで寝てる憂に麦茶こぼしちゃった」 憂「…あ」 唯「寒いよね、ごめんね~」フキフキ 憂「夢か……」 唯「どうしたの?」 憂「ううん……あ、あと私がやるからお姉ちゃんは座ってて」 唯「でも」 憂「大丈夫だよ」 唯「ん~ありがとう憂、はい」 憂「……って、お姉ちゃんこれって」 唯「雑巾見つからなかったから…そこに置いてあったパンツで拭いちゃった」 憂「……おパンツも大切にしないと、めっ、だよお姉ちゃん」 唯「はいぃ……」 憂「♪」フキフキ おわり 戻る
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憂「私にももっと構ってほしいのに・・・ううっ・・・んっ・・ハァハッ・・・」 ※ ガラッ! 純「お嬢さん、お悩みですね!?」 憂「ひゃあっ!?じゅ、純ちゃん!?」 純「私は純ではない!謎のお助けヒロイン、キューティー・純だッ!!」 憂「…やっぱり純ちゃんじゃない」 純「細かいことを気にするお嬢さんだね…助けてあげないよ?」 憂「へっ!?あ、あの…ごめんね?」 純「いいよ。で、何の悩み?」 憂「えーと…お姉ちゃんがね…」 純「なるほど!全て丸ごと完璧に理解したよ!」 憂「まだ全然説明できてないんだけど…」 純「つまりお嬢さん、君はお姉さんからの愛が足りない、そう感じているのでしょう?」 憂「な…何でわかったの!?説明し終わってないのに…」 純「金色のお助けヒロイン、キューティー・純は地獄耳なのだッ!」 憂「……盗み聞きしてたんだね…」 純「私に不可能はそんなにないのだッ!」 憂「あの、もう遅いからあんまり大きな声…」 純「お嬢さん、私にすべてお任せなさい!カモン、アズネコ!」 ガラガラ 梓「おじゃましまーす…」 憂「梓ちゃん!?」 純「これなるは我が忠実なるパートナー、魔法キャットのアズネコだよッ!」 梓「にゃーん」 憂「なんて覇気のない目…」 純「アズネコ、あれを出してッ!」 梓「しょうがないなあ純ちゃんは…ちゃちゃちゃちゃーん、おやつー」 純「さあお嬢さん、このおやつをお姉さんに食べさせてごらんなさい。たちどころにメロメロだよッ!」 憂「えっと…これ普通のシュークリームだよね…?ローソンの…」 梓「私が食べようと思って買ったんだけどね…」 純「ミッションコンプリート!長居は無用だ、行くよアズネコ!」 梓「にゃーん」 憂「ま、待って!純ちゃん!梓ちゃん!」 純「私は純ではない!無敵のヒロイン、キューティー・純だッ!さらば、お嬢さん!」 バサッ! 梓「……じゃ、また明日ね…バイバイ」 ガラガラ 憂「一体何だったんだろう…?」 憂「まあいいや…これをお姉ちゃんに食べさせればいいんだよね?」 憂「お姉ちゃーん?入るよー?」 唯「ん?どしたのういー?」 ボロロン 憂「シュークリーム食べない?」 唯「わーい!たべるたべるー!ありがとーういー!」 ジャララーン 憂「ふふっ。はい、どーぞ」 唯「もぐもぐ。はぁー、ちょっとぬるいけど美味しいねえ~!うい、ありがとー」 ジャララ~ン 憂「どういたしまして~♪じゃあね。ギターの練習頑張ってね!」 唯「うん!」 ボロロ~ン ガチャッ 憂「………これでいいのかな?」 2時間後 唯「うい~?」 憂「なっ、何!?おおおお姉ちゃん!?」 唯「おやすみ~。また明日ね~」 憂「えっ!?あ…う、うん…おやすみなさい、お姉ちゃん」 バタン 憂「………あれ?」 ガラッ 純「お嬢さん、お悩みですね!?」 憂「わあっ!?純ちゃん!また来たの!?」 純「私は純ではない!仮面を被ったお助けヒロイン、キューティー・純だッ!!」 憂「仮面?素顔だよ?」 純「相変わらず細かいことを気にするお嬢さんだね…眉毛を抜くよ?」 憂「ご、ごめんなさい…」 純「いいよ。で、何か悩み事?」 憂「あの…梓ちゃんにもらったおやつをあげたんだけど、何も変わらないよ?」 純「ふむ…カモン!アズネコ!」 ガラガラ 梓「にゃーん」 純「お嬢さん、おやつをあげた時お姉さんは笑った?美味しい美味しいとおやつを食べた?」 憂「う、うん…」 純「ならばよし!お姉さんは君の事を前より好きになっているはずだよ!大丈夫!さあ、帰るよアズネコ!」 梓「え?…何で呼んだの?」 憂「ちょ、ちょっと純ちゃん!?」 純「私は純ではない!サイボーグお助けヒロイン、キューティー・純だッ!お風邪など召されませぬよう!」 バサッ! 梓「…ごめんね」 ガラガラ 憂「あの程度じゃ焼け石に水なんだけどなぁ…」 翌朝 トントントントントントントントン… コトコトコトコトコトコトコトコト… 憂「はぁ…何だったんだろう、昨日の純ちゃん…梓ちゃんも」 ジャカジャ~ン! 憂「あ、お姉ちゃん起きた…起きていきなり練習?」 憂「お姉ちゃん、やっぱりまずはギー太なんだね…。顔を洗うよりも朝ご飯を食べるよりも、私におはようするよりも…」 ガラッ! 純「おはようお嬢さん、お悩みですね!?」 憂「……こんな時間にも来るんだね、純ちゃん…」 純「私は純ではない!目覚ましお助けヒロイン、キューティー・純だッ!!コーヒーを淹れてくれないかい、お嬢さん?」 憂「純ちゃん目ヤニついてるよ」 純「はあ…深い味わいだね…ブルマンかな?」 憂「リプトンの紅茶だよ。コーヒー切らしてるから」 純「…で、何の悩み?」 憂「…あの、お姉ちゃんがね、私におはようを」 純「オーケー!アズネコ!カモン!」 憂「…わかっていたとしても最後まで喋らせるのが人情だと思うよ?」 ガラガラ 梓「おはようにゃん」 憂「違う!グッドモーニャングだッ!」 梓「…グッドモーニャング」 憂「何でそんなに従順なの?」 純「アズネコ、あれを出してッ!」 梓「しょうがないなあ純ちゃんは…ちゃちゃちゃちゃーん、すきやきふりかけー」 純「さあお嬢さん、このふりかけを食卓に並べてごらんなさい。お姉さんはたちどころにメロメロだよッ!」 憂「残り半分くらいしかないね…」 梓「うちで使ってるやつだからね」 純「ミッションコンプリート!長居は無用だ、行くよアズネコ!そこのシャケを失敬しておきなさい!」 梓「にゃーん」ぱくっ 憂「あっ!ネ、ネコだから!?ネコだからなの!?純ちゃん!?梓ちゃん!?」 純「私は純ではない!荒くれお助けヒロイン、キューティー・純だッ!素敵な朝食を、お嬢さん!」 バサッ! 梓「…しょっぱいなあこのシャケ」 ガラガラ 憂「……おかずが…」 唯「ういー、おはよー」 憂「あ…お姉ちゃん、おはよう」 唯「どしたの?なんか元気ないよ?」 憂「う、ううん!何でもないよ!さあ、朝ごはんだよ!準備しておくから、顔を洗ってきてね!」 唯「うん!」 バシャバシャ 唯「お~、今日はシャケの塩焼きだね~、私これ大好きなんだぁ~!」 憂「ふふっ!さあ、座って座って?」 唯「はいは~い!」 唯「いただきま~…あれ?ねえうい、ういのシャケは?」 憂「あ、あのね、間違えて下に落っことしちゃって、だから今日はいいの」 唯「だっ、駄目だようい!ちゃんと食べないと丈夫な体になれないよ!?」 憂「大げさだよお姉ちゃん、一食ぐらい平気だよ」 唯「駄目っ!ちょっと待ってね!んしょ…はい、私のシャケ半分あげる!」 憂「え!?い、いいよ、そんな…お姉ちゃんの好物なのに…」 唯「いいからいいから、遠慮しちゃ駄目だよ?お姉ちゃんからのプレゼントなんだから、ね?」 憂「お姉ちゃん…うん!ありがとう!」 唯「えへへ~、じゃあさめないうちに食べよう!」 憂「うん!」 唯憂「いただきます!」 通学路 憂「そういえばふりかけ出すの忘れちゃったけど…まあ結果オーライ、かなあ?」 憂「はぁ…でもやっぱりお姉ちゃん、自主練したいから、って先に一人で行っちゃったし…」 憂「それに、純ちゃんと梓ちゃんと…どんな顔して会ったらいいんだろう…」 憂「はぁ…何で朝からこんなに憂鬱なんだろう…?」 憂「……学校、着いちゃった…」 梓「憂、おはよ」 憂「あ、梓ちゃん!?お、おはよう!!」 梓「どうしたの?びっくりした顔して…」 憂「だ、だって、その…」 梓「…みんなの前で余計な事言わないでよね」ボソッ 憂「わ…わかったよ、梓ちゃん…」 純「おっはよー、梓!憂!」 憂「お、おはよう、純ちゃん」 梓「おはよう純、朝からテンション高いね…」 純「そんなことないよ。むしろそっちが低すぎるの!特に憂!」 憂「えっ!?そ、そう!?」 純「んー?どうかしたの?顔色、あんまよくないよ?」 憂「ううん!何でもないの!何でもないよ!」 純「そう?ならいいけどね~」 梓「………」 憂「(いつもの純ちゃんだ…一体どういうことなんだろう?)」 授業終了 純「じゃね、憂!梓!ばっはは~い」 梓「お疲れー」 憂「ま、また明日ね、純ちゃん!」 憂「(今日一日…純ちゃんは今までと全然変わらない純ちゃんだった…)」 憂「(まさか…あの純ちゃんは私が見た夢?それとも妄想?)」 憂「(ううん…そんなことないよ…だって、梓ちゃんの態度は明らかに変わってるもん…)」 梓「…憂」 憂「ふえっ!?な、何?梓ちゃん」 梓「ちょっとだけ…時間、いい?」 憂「う…うん…」 梓「あの…さ…ごめんね、昨日と今朝のこと。びっくりしたでしょ?」 憂「うん…で、でもちょっとだけだよ?」 梓「本当に?」 憂「…ごめんね、本当はすごくびっくりした」 梓「だよね…まさか純がお助けヒロインだったなんてさ…」 憂「えっ!?」 梓「クラスメイト、しかも親友がお助けヒロインだなんて…嬉しいやら驚くやらだよね」 梓「あ、でもね、私は違うんだよ?普通の人間。魔法キャットじゃないよ」 憂「あ、梓ちゃん!?」 梓「純にね、協力して欲しいって頼まれたの。自分一人じゃ手が足りないから、って」 梓「…やっぱ、あんまりちゃんと出来てなかったよね?緊張しちゃってさ、どんなテンションでいればいいか迷っちゃったんだ」 梓「でも私、頑張ろうと思うの。だって、お助けヒロインのパートナーに選ばれたんだもん…!」 憂「(どうしよう…梓ちゃんが壊れちゃったよぅ…)」 憂「あのね梓ちゃん、お、落ち着いて話を聞いて欲しいんだけど…」 梓「だから、憂にお願いがあるんだ。純と私のことは、秘密にしておいて欲しいの」 憂「ひ、秘密って…?」 梓「お助けヒロインにとって、その正体を見破られることはすごく危険なことなの」 梓「だから、私達の正体を、みんなにバラさないでほしいんだよ」 憂「で、でも…あんな格好じゃすぐバレちゃうよ?というか、バレるとか以前にお助け」 梓「それは、憂が私と純の親友だから、あの変装をあっさり見破れたんだと思う。普通の人にはまず見破れないはずだもん」 憂「変…装…?あれ、変装してたの!?」 梓「憂…二つだけ…質問してもいいかな?」 憂「質問はともかく私の話をちゃんと聞い」 梓「まず一つ目…」 憂「話を聞いてよぅ!」 梓「憂…純や私のこと…怖い?気持ち悪いと思う?」 憂「へっ!?」 梓「純の正体がお助けヒロインだってこと。それに、私がパートナーの魔法キャットになったこと…」 梓「私たちはもう…普通の、平凡な女子高生じゃないから…。やっぱり怖いよね?気持ち悪いよね?」 憂「そ、そんなことないよ!怖くなんかないよ!気持ち悪くもない!純ちゃんも梓ちゃんも、何も変わらないもん!」 梓「憂…じゃあ、もう一つの質問。……これからも、私たちの友達でいてくれる?」 憂「あ、当たり前だよ!!いつまでも私たちは友達だよぅ!!」 梓「憂…ありがとう…本当に…ありがとう…!」 憂「梓ちゃん…」 憂「(お姉ちゃ~ん…なんだか変な展開になっちゃったよぉ~…)」 梓「ごめんね、憂。私はただ、憂の気持ちが聞きたかっただけだから」 憂「梓ちゃん…あ、あのね?私も聞きたいことがいろいろ…」 梓「あ、もうこんな時間!?部活行かないと!」 憂「へっ!?ま、待って!その前に私の話を…」 梓「ごめん!また明日!私たちのこと、くれぐれも頼むからね!」 タッタッタッタッ… 憂「梓ちゃん!?……あぁ…行っちゃった…」 憂「………この先…嫌な予感しかしないよぉ~」 憂「梓ちゃん…あんなこと本気で言ってるかな…?」 憂「お助けヒロインって…何なんだろう…?」 憂「純ちゃんも梓ちゃんも…おかしくなっちゃったのかなあ?そんなの嫌だよぉ…」 憂「…そうだ!純ちゃんにも話を聞いてみよう!」 憂「それにもしかすると、実は純ちゃんは梓ちゃんの妄想に付き合ってあげてるだけなのかも!」 憂「だとしたらおかしいのは梓ちゃんだけってことだから…」 憂「……どっちにしても梓ちゃんがおかしいことに変わりはないのかぁ…」 憂「ううん!とにかく今は純ちゃんだよね!まだジャズ研にいるはずだから…呼び出してみよう」 純「憂、今さっき梓がメールをくれたよ。ありがとう…憂のおかげで、私はこれからもお助けヒロインを続けられるよ…!」 憂「(やっぱり純ちゃんもおかしかったよぉ…)」 純「私はまだ…お助けヒロインを続けなくちゃならないんだ!それが、世界の願いだから…!」 憂「ずいぶん壮大な話になってきたね…」 純「ごめん憂、ここでは盗聴されるおそれがあるから…あまり長く話すのはまずいんだよ」 憂「はあ…」 純「今夜、何か予定はあるの?」 憂「予定?ううん、特にないけど」 純「よかった。じゃあ今夜、梓と一緒にお邪魔させてもらってもいい?」 憂「ふえっ!?う…うん、いいけど…」 純「ありがと。じゃあ今夜9時に行くね!よろしく!そいじゃ!」 タッタッタッタッ… 憂「はあ…まあとにかく、今夜色々お話を聞かないと。今の状況じゃ判断材料が少なすぎるもんね…」 憂「…帰りにケーキ買っていこっと」 平沢家、夜9時数分前 憂「えっと…お茶とお菓子の準備もできたし…あとは二人を待つだけか…」 憂「心配だなあ…冷静にちゃんとお話ができるかなあ…?」 憂「心細いな…味方が欲しいなあ」 憂「あっ!軽音部の皆さんを助っ人に…って、もう間に合わないよね…」 憂「お姉ちゃんは……駄目だよ、巻き込むわけにはいかないよぉ」 憂「…ううん、駄目だよね、弱気になっちゃ…!大切な親友のためだもん!」 憂「あ、もう9時になるよ、お出迎えに行かないと…」 ガラッ! 純「その必要はありませんよ!お嬢さん!」 憂「じゅ、純ちゃん!また窓から…」 純「私は純ではない!蘇ったお助けヒロイン、キューティー・純だッ!!」 梓「にゃーん」 憂「…とりあえず入ってね」 未完 戻る
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前へ “もしもーし” 呼び出し音が途切れ、通話状態になった瞬間、喉がグッと鳴った。 受話器越しに、電車の発車アナウンスが聞こえてくる。・・・間が悪かったかもしれない。 「お忙しかったかしら?ごめんなさい」 “んーん、大丈夫ー。オフだからちょっとお出かけしてたんだ。今ちょうど乗り継ぎ。何か久しぶりだね、千聖” 「ええ」 本当に、こうして2人で話すのはしばらくぶりのことだった。お仕事中の声より少しだけ低い“いつもの”声が、やけに新鮮に感じる。 「新しいアルバム、拝聴しました。ベリーズの皆さんは、声もキャラクターも個性がとても強くて聞き応えがあるわ」 “ウフフ、それはどーも。もぉも℃-uteのアルバム聴いたよ。ちょっと前だけど。舞ちゃんたちと歌ってる曲、あれいいねー!千聖の声可愛かったよぉ。歌い方変えた?” 「ええ、なるべく可愛らしく響くよう、意識しているの。気づいていただけて、嬉しいわ」 他愛もない会話はとりとめなく続く。 とても楽しい。だけど、用意していた話題が一つずつ消えていくたびに、私は少しずつ緊張感を覚えていた。 “・・・千聖?” そんな私の様子に気づいてくれたのか、受話器の向うの声のトーンも少し変わる。 「あ・・・」 散々シュミレーションしていた言葉は、なぜか肝心な時にうまく出てきてくれない。 わざとらしく聞こえたらどうしよう、とか、逆に伝え切れなかったらどうしよう、とか、余計な事を考えてしまうせいだと思う。 “前の千聖”と皆さんが呼んでいる、もう一つの人格の私なら、きっとこういう時、無邪気に笑って思いを伝えることができるんだろう。同じ人間なのに、不器用な今の自分が少し恨めしかった。 “・・・どうしたの?何か、悩んでる?” 「あの、そういうわけでは・・・えと、」 “言いにくいこと?何でも聞くよ、安心して。千聖は私の可愛い妹なんだから” ――妹。 普段なら嬉しいはずのその言葉に、ズキンと胸が痛む。私は意を決して口を開いた。 「も・・・桃子さ・・・・いえ、ももねえ、ちゃん」 “うん?” 「わ、私のことを、妹のように思ってくださっているの・・・?本当に?」 “うん、思ってるよ。千聖はもぉの妹だよ” 「っ・・・・それなら、どうして、言ってくださらなかったの・・・・?」 声の震えとともに、いきなり涙が膝に落ちた。 “ねえ・・” 「あ・・・ご、ごめんなさい。私・・・」 どうしていいのかわからなくなって、私は思わず電話を切ってしまった。 「・・・お姉ちゃん?」 2人部屋のスペースを仕切る、カーテンの向こうから、明日菜が心配そうに声をかけてくれた。 「ごめんなさい、大丈夫だから」 心臓を庇うように、体育座りになって顔を伏せる。 ――違うのに。 あんなことを言いたかったわけじゃないのに。感情に任せて言葉を紡いで、桃子さんを傷つけてしまったかもしれない。 どうしよう、謝らないと。 そう思っていても、また不用意な言葉で、桃子さんを困らせる事が怖かった。 電源の入っていない携帯電話を見つめて、私はしばらく黙って目を擦り続けた。 「お姉ちゃん、お茶、入れたよ。カーテンのとこ置いとくね」 お盆に乗った紅茶とラフランスが、隙間からそっと差し出される。 あえて顔を合わせないでくれる、明日菜の優しい心遣いが心に染みて、ますます自己嫌悪を覚えた。 「ありがとう、あとでいただくわ」 精一杯、声が震えるのを抑えながらそう返すと、急に頭がぼんやりしてきた。 張り詰めていた気持ちが緩むと、いつもこうなってしまう。 「明日菜、お姉ちゃん、ちょっと眠るから・・・」 「え?お姉・・・」 ベッドに顔を埋めて、私はゆっくりと目を閉じた。 次へ TOP
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このSSは『【けいおん!】唯×憂スレ』というスレに投下されたものです http //changi.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1252737307/l50 356 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/04(日) 03 36 20 ID 6RGZZfsF ある日の深夜 憂(なんか喉かわいたな…水でも飲もう。あれ?リビングに誰かいる…) 憂「…お姉ちゃん?」 唯「…あ、憂!どしたの?こんな時間に」 憂「…ごめん、私も同じこと聞いていいかな?」 唯「えっと…ギー太の手入れしてたら喉乾いちゃってさ、何か飲もうかなぁって」 憂「お姉ちゃんも喉乾いたの?私もなんだ」 唯「そ、そうなんだ!なんか、さすが姉妹って感じだね!」 憂「そうだねー」 唯「そうだ憂、私あったかいココアが飲みたいな。入れてくれる?」 憂「いいけど…今飲んだら眠れなくなっちゃうよ?」 唯「明日休みだし大丈夫だよ!ね、いいでしょー?私も手伝うから!」 憂「しょうがないなぁ…じゃあお姉ちゃんはカップ出してくれる?」 唯「了解!わーい、ココアココア~♪」 10分後 憂「はいお姉ちゃん、熱いから気をつけてね」 唯「うん!いただきま…あち!」 憂「だ、大丈夫?もうお姉ちゃんたら、気をつけてって言ってるのに」 唯「うぅ、不覚なり…ところで、こんな夜中に起きてるのってわくわくするよね」 憂「うん…それもリビングでお姉ちゃんと二人きりだもんね」 唯「…ねぇ、憂?」 357 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/10/04(日) 03 45 28 ID 6RGZZfsF 憂「なあに?」 唯「一緒にいてくれて…ありがとうね」 憂「え?」 唯「…私ね、昨日部活の練習で失敗しちゃったんだ。 原因は私の練習不足のせいなのに…なのについ皆とケンカしちゃったの」 憂「お姉ちゃん…」 唯「そのこと考えてたら眠れなくて、ここでぼんやりしてたの。そしたら憂が来たんだ」 憂「そうだったんだ…だから少し元気なかったんだね」 唯「でももう大丈夫!ココアパワーで元気になったよ!明日皆に謝りに行く!」 憂「うん、がんばって!きっとすぐ仲直りできるよ!」 唯「うん!…ねぇ憂、私ね…」 憂「今度はなあに?」 唯「憂のこと、大好きだよ」 憂「……!う、うん…私もお姉ちゃんのこと、大好きだよ」 唯「えへへ、ありがと…ねえねえ、朝までずーっとおしゃべりしてよう?」 憂「ココアで目が冴えてきちゃったしね…うん、いいよ」 唯「ありがと♪じゃあさじゃあさ…」 ――翌朝、リビングで仲良く寄り添って寝息を立てる二人の姿がお母さんに発見されましたとさ すばらしい作品をありがとう
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前へ 「えっと、ペアシート。基本料金で。あとその堅焼きポテトください。」 少し歩き回って、私はカードを持ってる漫画喫茶のチェーン店を発見した。最悪デパートのトイレで・・・と考えていたから、これはかなりいい展開だ。 「えりがぢゃぁん・・・」 眉をへの字にしながらも、千聖は私が差し出したポテトチップスをしっかり抱えてついてくる。 「大丈夫だって。ウチのこと信じられない?」 「うん。」 ズコー 「・・・ま、またまたそんな岡井さんたら」 「だって・・・ほ、本当に千聖が嫌だって言ったらすぐやめてくれる?」 「もちろん。ほら、入って。」 指定された個室のドアを開けて、私は先に千聖を通した。 ここの漫画喫茶は完全個室タイプだけれど、最近は“風俗ナントカ法”というやつで、扉のないお店の方が多いらしい。・・・まあ、別にそんなに激しいことをするつもりもないんだけど、一応ラッキーだったのかもしれない。 「さて、と。ちさ・・・」 「ぅあっちょっちょっとまって!私飲み物持ってくるから!えりかちゃん何がいい?ロヤイヤロルミドゥクティ?わかった、ちょっと行ってくる!」 千聖は私が軽く肩に触れると、ピョンと飛び跳ねて慌てて部屋を出て行ってしまった。・・・よーし、ちょっと驚かしてやろう! 「お、お待たせー・・・ええっ!な、何なんで」 「あらぁん、遅かったじゃない、千聖ちゃぁん?ウフン」 しばらくして、両手に飲み物と漫画を抱えて千聖が戻ってきた・・・けれど、扉を開けたまま、ポカンと口をあけて立ちすくんでいる。 無理もない。私は千聖が戻ってくる前に、ブランケット3枚とおっきい枕を借りてきて、座敷の個室をベッドみたいに改造してしまったのだった。 「千聖ちゃぁん?来ないのぉん?」 「う、あう、う・・・・そ、も、もうちょっと詰めてえりかちゃん」 千聖はしばらくフガッてから、観念したように中に足を踏み入れてきた。両手で私をイモムシみたいに転がして、自分のスペースを作り出す。 「あのこれ、ミルクティー持って来たから。あとちょっと漫画読みたいから待ってて。」 「ええ??ちょっとぉ」 私が作った即席ダブルベッドの半分に横たわると、千聖は“アラレちゃん”を読み出した。な、何てムードのない! 「ちぃさぁとぉぅ・・・」 「ん・・・待ってってば」 オレンジジュースとポテトチップスを周りに置いて、すっかりリラックスムードだ。時折グフフと笑い声を上げながら、ゴロゴロ寝返りまで打ち始めている。 「むぉおおう、漫画はあ・と・で!」 「わああ!待ってジュースこぼれちゃう!」 10分、20分と待たされて、私はいい加減辛抱たまらなくなってしまった。後ろから千聖の二の腕をガシッと捕まえる。 「本当千聖、自由だよね。まったく、何でここ来たか忘れちゃった?」 「・・・ごめん。覚えてるけどさぁ・・何か・・・」 千聖はちょっと口を尖らせながら、慌てて私の方へ向き直った。ご機嫌を伺うように、上目遣いでじっと見つめてくる。 「大丈夫だから。本当にたいしたことしないって。じっとしてて。」 「うん・・・」 女の子同士で入ったとはいえ、あんまり不審な動きをしたら店員さんが飛んできてしまうだろう。 私は千聖にぴったりくっついて、背中に回した指で“大事なところ”を突っついた。片手は胸に添えて、唇で首筋を辿る。 「!!!えりっむぐっぐぐぐ」 「シーッ!大声ダメ!」 腕力では無理だから、少し圧し掛かるような体制で、私は暴れる千聖の口を手で塞いだ。 「ほ・・本当に、こんなことしてたの・・・?」 少し落ち着いてから、千聖は掠れた声で問いかけてきた。 「うん、してた。ていうか、裸でしたこともあるんだよ。」 「嘘、嘘・・・信じらんない・・・・嘘だぁ」 千聖は私の手から逃れようと身をよじる。うっすら涙目になっているのが可哀想で、私はそっと髪を撫でて、できるだけ優しく聞いた。 「・・・もうやめとく?最初に言ったでしょ、千聖が嫌って思ったらすぐ終わりにするから。漫画読んで、帰るんでもいいよ。ウチはね、本当にウチと千聖がこういうことしてたっていうの信じて欲しかっただけだから。怖いなら、無理することないよ。」 「う・・・」 ブランケットの中で胸に触れる私の手を掴んだまま、硬直する。千聖は嫌なら嫌だとはっきり言えるタイプだから、今は悩んでいるのかもしれない。 長い睫毛を揺らして少し押し黙った後、千聖はまた瞳に強い意志を宿らせて、私を見つめてきた。 「もう少し、続けてみて。あんま暴れないようにする。」 「ん、わかった。」 正面を向いてると、私の行動がいちいち目に入って怖いだろうし、後ろを向かせてそっと寄り添う。・・・まあ、この体勢の方が触りやすいっていうのもあるんだけど。 お嬢様の千聖の好きなパターン、耳を甘噛みしながら胸の谷間をこしょこしょくすぐるというのをやってみると、千聖は首をすくめて丸まった。 「ぅ・・・ほ、本当に・・・?信じらんない・・・」 まだそんなことをつぶやきながらも、もう逃げる様子はない。足を割って、鎖骨のあたりにカプッと噛み付く。 「っ!」 びくんと全身が跳ねた。と思ったら、硬くなっていた体から、だんだん力が失われていく。あれ・・・これは・・・ 「千聖?」 「・・・・」 背中越しに見た瞳は、あの“一人ぼっちの世界”の時のものだった。と、いうことは 「・・・・・・えりかさん」 「へ、へい。」 しばらくの沈黙の後、再び顔を上げた千聖は、バッチリお嬢様に戻っていたのだった。 「・・あ、あれだね。要は、本格的に気持ちよくなり出すと、人格が変わるってことみたいだね。」 「ええ、そうみたいですね。」 「じゃあ、切り替わるスイッチもわかったことだし、そろそろ・・・」 「あら、えりかさん。」 ブランケットから這い出しかけた私を、千聖の小さな手が捕まえた。 「もう終わりになさるの?もう少し・・・・だめかしら?」 う、うおおおおお嬢様ハァーン!/(^o^)\ナンテコッタイ! 明るい千聖が清純派(?)になった代わりに、お嬢様の方はERO-EROに?どちらもいただけるなんて、梅田、感無量です! 「えりかさん?」 「はっ!・・・あ、わかった、じゃあ、もう少しだけ、ね。」 「うふふふ」 ―暗 転― 「・・・・というわけなんだよ、愛理。ぐふぇふぇふぇ」 「へー・・・。」 少コミ乙、と言わんばかりに、愛理は微妙な表情で私の説明を聞いてくれた。 「まあそれで、いろいろ試した結果、まだお嬢様の方の千聖が人格のベースになってるみたい。ずっと明るいほうではいられないっぽいの。それでも、こうやってスイッチが見つかったのは収穫じゃない?」 「うん、そだね。でもえりかちゃん、それみんなにどうやって説明するの?・・・なっきぃとか。」 うぐっ! 「・・・そこらへんはうまくぼかしぼかしで。」 「その方がいいだろうねぇ」 目の前で、明るい方の千聖とジャレるなっきぃを見つめながら、私は密かにため息をついたのだった。 次へ TOP
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1 唯澪 ほのぼの 2010/07/08 http //yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1278515107/ 戻る 名前 コメント すべてのコメントを見る 律「ドゥフフフ」 いやドゥフフフってなんだよ -- (名無しさん) 2015-02-13 15 56 35 いい唯澪。 ↓下の和ちゃん関連のコメわろた。 -- (名無しさん) 2015-01-09 00 52 10 まぁ和は唯のお姉さんってよりお母さんという感じだからねぇ この唯澪は凄くいいと思います! -- (名無しさん) 2014-03-04 00 28 49 唯澪では必ず他のキャラ欲しがる奴 -- (名無しさん) 2013-05-12 21 41 12 ↓せ、生徒会とかで忙しい和ちゃんに気を使ってるんだろう(震え声) -- (名無しさん) 2013-05-05 23 09 32 和「……」 -- (名無しさん) 2013-05-05 21 23 43 これは素晴らしい!!! そうだよね・・・時には甘えたいよね・・・ 澪ちゃんみたいなお姉ちゃんがマジでほしい今日この頃 -- (名無しさん) 2013-05-02 01 18 32 good!! -- (名無しさん) 2012-03-03 17 24 53 アンソロでがっつり拒否られてたからな、これはいい -- (名無しさん) 2012-03-03 17 12 25 いい -- (名無しさん) 2012-03-03 02 48 18
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前へ もうとっくに仕事は終わっているはずなのに、まるで待ち時間みたいに、キュートのみんなそれぞれがお庭を眺めながら過ごしていた。 「あれー?みんなぁ」 やっとゲルから出てきた愛理と千聖も、それを見て嬉しそうに手を振る。 「おっそーい、千聖!舞、千聖がそこん中で寝てると思って、気ぃ利かせて待ってたんだからね!ほらもう帰るよ!」 「あら、舞さんたら。お待たせしてごめんなさいね」 「は?舞さ・・・ええ?・・・まあいいや、行こっ」 舞ちゃんはパタパタ走りよってきて、あっという間に千聖の腕を取って行ってしまった。 「ねえ、ねえ」 私は近くにいた舞美ちゃんに、そっと話しかけてみた。 「本当にずっと待ってたの?」 「んー、一回お昼食べに外出たんだけどね。舞が戻りたいって言うから、時間つぶしてたの。ここは自然いっぱいで、飽きないしね」 「そか。・・・あともう一個だけど、何で私たちがここにいるって知ってたの?」 「知ってたっていうか、まあここだろうなって。そこのテントがちっさーの隠れ家なんだって、舞が。 梨沙子たちも一緒っていうのはここ来るまで知らなかったけど、中から話し声がしたからね」 「ふーん」 バレてるんじゃ、隠れ家じゃないじゃん・・・。っていうか、何で知ってるんすか、舞ちゃん・・。 「まあ、ちょっと遅くなっちゃったし、今日はりーちゃんも一緒にかえろ」 「うん・・・」 せっかくなっきぃが笑いかけてくれたのに、何か気持ちが沈んだ。 だって・・・いないし、ベリーズ!一人も! 「・・・キュートって、仲良くていいなあ」 「ん?でもいつもこういう風に待ってるわけじゃないよ。帰り別々なことも多いし」 「そうじゃなくてぇ・・」 ま、わかってるけど。キュートとベリーズじゃノリが全然違うし。納得は一応してるけど、やっぱり寂しいものは寂しい。 「行こう、梨沙子」 何となく、私の気持ちを察してくれたのか、愛理となっきぃが手を繋いでくれた。 舞美ちゃんはよくわかんないけど、後ろから腰を抱いてきてムカデ歩きみたいになった。 「歩きにくいし!」 「もー、みぃたんたら無茶しないでよぅ」 わいわい騒ぎながら、屋上に繋がる階段を下りていく。 そこから通じるエレベーターでいっきに1Fまで下ると、私の目に、信じられないものが写った。 「あ、梨沙子さん」 笑いかけてくる千聖と舞ちゃんの奥。 「みや・・・」 「お疲れー。よかった、梨沙子残ってたんだ」 「何で?先帰らなかったの?」 何か約束してたってわけじゃないのに、みやがそこにいたことにびっくりして、思わず咎めるような口調になってしまった。 「いや、忘れ物しちゃったから・・・。ちょうど千聖たちに会って、梨沙子いるって言うから待ってたんだけど」 「あ、そ、そっか、ありがと」 「今日さ、梨沙子仕事終わってからすぐどっか行っちゃったじゃん?別にさ、子どもじゃないんだし大丈夫だろうけど、みんな心配してたんだよ。メール、送ったけど見てない?」 そう言われて、私はあわてて数時間ぶりにケータイの電源を入れた。 愛理や千聖と過ごすのが楽しすぎて、全然メールチェックなんてしてなかった。 「おー・・・」 「すっごーい!梨沙子人気者じゃーん!とかいってw」 横から覗き込んだ舞美ちゃんが、感嘆の声を上げた。 新着メール、30件。 みやは“帰っちゃった?”“とりあえずうちも帰るよ、お疲れ!”とか、普通の内容。 キャプテンは明日の連絡事項と、私の体調を気遣う内容、それから2人の間でブームなドラマの感想が入ってた。 ももはツ○ッターと勘違いしてない?ってぐらいの頻度で“今電車乗ったよー”とか“オレンジジュースおいちー☆”とか画像つきで。 茉麻は“今どこ?”“何かあった?大丈夫?”“気づいたら1回メールちょうだい”ってママっぽいメールが数件。 千奈美は意味わかんないダジャレと面白画像をたんまり送ってきて、“求感想!てか今もう家?”って送ってきてた。 熊井ちゃんはハマッている漫画の話を長文で、最後に“ところで梨沙子、いつの間に帰ったの?”なんて書いてた。 「愛されてるねー」 「・・・うん」 余計な言葉を言ったら泣いちゃいそうだったから、黙ってみやの肩に顔を押し付けた。 「どうしたどうした。甘えんぼうか」 髪を滑るみやの手が気持ちいい。 みんな、さりげなく私のこと気にしてくれてたのに。キュートは仲がよくていいな、なんて口に出した自分が恥ずかしくて、情けない。 「一緒に帰ろ?」 「うん・・・」 ささやかに誕生日を祝ってもらって、愛理とも千聖とも仲を深める事ができて、キュートのみんなに優しくしてもらって、ベリーズの絆を強く感じる事もできて。最高の1日だったと思う。 んま、できれば、元気なほうの千聖にも会いたかったけど・・・。 「じゃ、またね!」 「うん、バイバーイ」 駅について、それぞれの電車の乗り口に別れていく。 私は愛理・みやと途中まで一緒。千聖たちとはここでバイバイ。 「じゃーねー・・・ん?」 名残惜しく、みんなの後ろ姿を見送っていると、急に千聖の足が止まった。 「千聖?」 小走りで、私のところまで戻ってくる千聖。 黙ってジーッと見つめてきたと思ったら、その可憐なお顔が、だんだん不気味に歪められていく。 「ちょ・・・」 何か言い出す前に、背後に回りこんだ千聖は、私の頭を抱え込んで胸に押し付けてきた。 千聖の柔らかい胸の感触と、ギリギリ締め付けてくる息苦しさが同時に襲ってくる。 「グフフフ」 「ギ、ギブギブ!無理!」 早々に腕を叩いて降参を知らせると、千聖は満足そうに体を離してくれた。 「ケホケホ・・・な、な、何」 「あはは、りーちゃん、じゃねーい!あ、ごきげんよーだっけ、あははは」 何がそんなに面白いのか、千聖は手を叩いて笑いながら、改札をくぐってしまった。 「あははは、なになに?ウケるんだけど!」 「梨沙子、大丈夫?」 みやなんて大爆笑してるし、一応心配してくれてる愛理も、若干目の端に笑いが浮かんでいる。 「し、信じらんない!千聖の乱暴者!っていうか、いつの間に元に戻ったんだろ・・・」 すると、愛理はちょっと気まずそうに私をチラ見した後、「・・・今日は、最初っからヤンチャな方の千聖だったんだよ・・」と呟いた。 「えええええっ!!!??」 「まあまあ、梨沙子落ち着いて」 「あばばば」 だって、だって、さっきまではあんなに綺麗な言葉遣いで・・・あんな清楚な笑顔で・・・なのに、どういうことだ! 「いやー、いつネタバレするのかなーって思ってたんだけど、千聖全然言い出さないから。まさかこのタイミングとは思わなかったなあ」 「あー・・・それで、さっき私が“元の千聖にも会いたい”って言ったとき、2人して大爆笑してたんだ。もー、どっかで教えてよぅ、愛理ってば!」 「あはは、ごめんねー。なっきぃも舞ちゃんも気づかないふりしてあげてたから、言いそびれちゃった。舞美ちゃんだけは本当に気づいてなかったかもしれないけど」 ――キュート、変なトコでも結託しすぎ!! 「私も全然気づかなかったなあ。千聖、元に戻ってることもあるんだ!面白いね!」 「うん、最近の“元の千聖”のマイブームなんだよね、お嬢様のフリして騙すの。でもキュートのみんなはもう慣れっこだから引っかからないし、今の梨沙子の反応は嬉しかったんじゃないかな。」 「うー・・・でも、まあ、明るい千聖とも会えてよかったよ。あの乱暴者め!プロレス技とかひきょうだし!」 悪態をつきつつ、それでも私たちに美味しいトマトを譲ってくれたり、隠れ家に招いてくれたりしたのは“元の千聖”の優しさに違いないわけで・・・それは、やっぱり、嬉しい。 「・・・もう二度と引っかからないように、これからはもうちょい千聖の動向に注意しとこうっと」 「ケッケッケ、でも相手はあのいたずらの天才だからねー。ファイトだ、梨沙子!」 「おー!」 とりあえず、プチ復讐として、帰ったら“元の千聖”に「ももが階段から落ちてクールキャラになっちゃった!」ってメールしてやろうかな、と私は密かに微笑んだ。 次へ TOP
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今日みたいに衣装合わせのみの場合は、メイクさんはつかない。 私はメイクが好きだから入念にやるけれど、キュートはわりとすっぴん派も多い。 今も鏡に向かっているのは、私以外は栞菜となっきぃぐらいだ。 乳液でベースを作って、私物のファンデを塗りこんでいく。 ふと自分の顔から目線をずらすと、鏡ごしに千聖と目が合った。 にっこり笑いかけてくれたのに、私の心臓はズキンと痛んだ。 取り繕うように唇をつりあげて微笑みを返すと、目を逸らしてまたメイクに没頭した。 ああ。ヤバい。 まためーぐーるーが頭をよぎった。 千聖のことを考えると、ひどく心が乱れる。 日傘なんかさしてしずしず歩く姿を見てちょっと楽しくなったり、お嬢様の千聖のちょっとした仕草に、前の千聖の要素を見出してなぜか落ち込んだり、自分でもわけのわからない感情に振り回されてしまう。 いったい私は、千聖にどうなってほしいのだろう。 前の千聖が懐かしいといっても、舞ちゃんのようにハッキリと「前の千聖に戻ってほしい」と思っているわけでもない。 かといって愛理のように「このままでいてほしい」というわけでもない。 自分の気持ちが自分でも理解できてないのに、千聖を助けるために動くというのはなかなか難しかった。 だから少し距離を置いて、千聖を、みんなを観察する側にまわった。 必要以上に接しなければ、表向きはいつもの梅田えりかでいられる。 きっとこの胸の痛みも、時間がたてば自然に解決する。 これは千聖は関係なく、私の個人的な問題。 そう割り切っていたのに、なっきぃには見抜かれてしまっていた。 「えりかちゃん、冷たい。」 さっきなっきぃに言われた言葉が、今更胸を刺し始めた。 なっきぃはストレートに物を言い過ぎるところがあるけれど、ちゃんと本質を見抜いて喋る子だ。 おそらくある程度は、私の心情を理解してくれているんだろう。 あーあ。気をつかわせたくないから目立たないようにしていたのに、上手くいかないものだ。 この分だと、千聖自身にも何らかの変化を感じ取られているかもしれない。 「えりかさん。」 あの子はなっきぃと似た意味で、周りの変化に敏感すぎるところがある。 「あの、えりかさん。」 「あーもう、ウチ本当だめだよー・・・ってうおおい!千聖!」 気がつくと、空いていた隣の椅子に千聖がちょこんと座っていた。 驚きのあまり、上の空で引いていたアイラインがものすごい太さになってしまった。プリンセステンコーか。 「ご、ごめんなさい。私ったら、驚かせてしまって。後の方がよかったかしら。」 「ううん。大丈夫。私がボーッとしててこんな顔にね。・・・どうかした?」 「いえ、あの・・・あの・・・」 何だか様子がおかしい。胸の前に手を置いて、私の顔を覗き込んだと思ったら目を逸らす。 「大丈夫だよ。ウチ、口は固いよ?」 とりあえず千聖の口元まで耳を近づけると、柔らかい吐息と一緒に、小さな声が耳に入り込んできた。 「あ、あの、下着が・・・」 「え?うん」 「さっき、下着が壊れてしまって・・・あの、それで」 ええええ? 「ど、どうしてよ。下着って、上の方だよね?壊れたってきょにゅ」 うになりすぎたから?とは口が裂けても言えない。相手はお嬢様だ。 「それで、あの、どうしたらいいのかと思って。」 「で、何でウチに?愛理たちでいいんじゃない?」 「あ・・・ごめんなさい。迷惑ですよね。こんなこと」 千聖は悲しそうにうつむいてしまった。 「千聖、違うの。ごめん。迷惑とかじゃなくて・・・なんていうか私の問題で・・・」 嫌な沈黙が流れた。 千聖に話さなきゃいけないことはたくさんある。 でも、私の心の葛藤を、ここで千聖にすべてぶつけるわけにはいかない。 優しい千聖は全て受け止めようとして、私と一緒に押しつぶされてしまうかもしれない。 よし。 「千聖。一緒に来て。見てあげますよブラでもなんでも!」 千聖の二の腕をガシッと掴んで、ドアを目指して進む。 言葉なんて、何の意味があるというのか。 ここは、うちの全力リーダーを見習うことにした。 「ちょっ、どこいくの?えり?ブラが何だって?」 「すぐ戻る!・・・あ、なっきぃ。」 「え?」 「さっきはありがとうね。」 なっきぃに、ウィンク付きで投げチューをしてみた。 返って来たオエッて声は聞こえなかったことにしようっと。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -